女の子同士の恋愛が話題に

その時、ハートは盗まれた

満を持してスタートしたボクたちのドラマシリーズ、件の幕末高校生は一時期放送そのものが終了した後の第二シーズンの作品となっている。つまり、この作品を制作するに至るまでの道のりに話題作を生み出していたからこそ、制作は続行されたのだ。その後ドラマのコンセプトを持ち越して後に映画作品を多数生み出したことも有名だ。中でも映画では最近話題にもなった、某イケメン歌手と結婚した女優さんがデビュー作となる映画で歌手デビューをしていたという黒歴史が発表されたという話題にも繋がる。そちらについては機会を見つけて紹介していくが、正直なところ本人も隠したがる、事務所もなるべくならやめてくれという意図、更にはファンもちょっとやめたげてと言いたくなるくらいのもののようだ。

そういう意味ではこちらの作品も例外ではない。ボクたちのドラマシリーズの中にはビデオ・DVD、どちらにもパッケージ化されていないドラマはある。内容が過激だから、あるいは映像化として当時は許されても、今では出演した俳優にとってマイナスイメージになりかねないから、といった事情が絡んでいることもある。この作品もその1つで、ボクたちのドラマシリーズがスタートして二作目に制作された『その時、ハートは盗まれた』というものだ。

やはりという言い方になるが、筆者はこの作品を知らなかった。そもそも当時はまだドラマを見るような年齢ではなかったのも関係しているが、恐らく見ても親が見るなと通達しただろう。なにせこの作品で取り上げられているテーマが、『10代の少女同士の恋愛』というとんでもコンセプトだからだ。

ドラマたのしいよドラマ

女子高生同士の恋愛を中心に

10代の少年少女をメインターゲットにしたドラマを作る、というテーマで始まったドラマシリーズですが、二作目に作られた今作を見て呆然とした人たちが多かっただろう。なにせ一話目から周囲の注目を集める女子生徒が主人公である同じく女子生徒のファーストキスを奪うという幕開けから物語が始まるからだ。

驚くなと言われる方が難しいだろう、そしてそのキスが何を意味しているかというと、ただの友情ではない恋愛という領域へ足を踏み込むものになる。この時期にはよくあることだ、というには随分とみだらな性事情が繰り広げられるので、とても10代が見るような内容とは言い切れません。それでも放送が出来たのは、当時はまだ今のように何かと世界観や物語上の展開に対して過度な制約を課す必要が無いとみられていたのも関係している。

同性愛をテーマにしたドラマ、というだけでもセンセーショナルだが、まだこのドラマはプラトニックな方なのかもしれません。これより少し後の話になりますが、地上波のテレビドラマで『失楽園』が放送された時の衝撃を超えるものはないでしょう。堂々と不倫をテーマにして、おまけに生々しいシーンが多く放送されていたのだから、こちらの方が今となっては信じられない。

ドラマのウリとして

この作品の見所はやはり主演している『一色紗英』さんと『内田有紀』さんの二人にあります。前者の一色さんは作中ではごく平凡な女子高生として過ごし、後者の内田さんはミステリアスな雰囲気に下事情がかなり奔放だという噂が立っているという役柄だ。そんな一色さん演じる裕子に突如、内田さん演じる早紀がキスしたことで2人の距離は一気に縮まっていく。最初こそ裕子は早紀をあまり良く見ていませんでしたが、徐々に垣間見れる噂とちがう彼女の実像に惹かれていくのが見どころだ。

そこには男女間の欲望めいた部分ではない、同性ならではの純粋な憧れが恋愛とも友情とも取れる高ぶりへと変化していく様をお二人が見事に演じきっている。ちなみにこの作品で裕子が恋する男性として、同じ高校の先輩に当たる片瀬を演じているのが、木村拓哉だ。相手役も凄いですが、目玉はなんといっても一色さんと内田さんの二人をおいてありえない。

内田有紀さんの衝撃デビュー作

一色さんはこの頃デビューして1年目の新人女優として活動していましたが、一番の注目株は彼女ではなく内田有紀さんにあります。なんと今作が女優としてデビュー作であり、最初から同性愛ともプラトニックな友情を超えた女同士の関係を題材にしたドラマで主演する、という何役に挑んでいるのだ。この作品のインパクトは当時の男女問わずして絶大な人気を勝ち得るようになり、やがて90年代中盤において他の女性タレントたちの追随を許さない、不動の人気を獲得していく。

女優としてタレントとして、様々な記録を残していく中でやがて社会現象すら引き起こすだけのアイドルへと昇華した。当時を知る内田さんのファンにすれば、90年代初期から中盤までの間、彼女を見ない日はなかったというほど目にしていたと聞きます。

実写化が許せない方へ

こんなの序の口だった

ただでさえ過激な内容を取り扱っている、『その時、ハートは盗まれた』ですが覚えている人にとってこの作品がいつか手元にパッケージ化されたものを手に入れたいと、そう思っている人も多いでしょう。可能性は無きにしもあらずですが、内容が内容だけに前途多難なのは言うまでもない。

また木村拓哉さんにしても自分が出演しているにしては、影が薄すぎるという印象があるのは否めない。そういった観点から考えても、映像ソフトのDVD化は難しそうだ。